〜最終章〜



バイクに限らず、どんな事にも必ず終わりはあります。

但しそれは突然にということ・・・




その日は、今年のR1での初走行。

カウルも塗り替え、各部の消耗品も交換。

意気揚揚とトミンモーターランドにやってきました。





3月も中旬にさしかかり、晴れている日なら暑いほどの気温。

サーキットを走るには絶好の天気です。

R1では、11月の富士を走行して以来4ヶ月ぶりとなりました。



4月には、いつものエビスサーキットでの走行会があるので気合も入る。

その為にも、今年はマシンのセッティングをどんどんこなそうとして、

スプロケを替えて、減速比を変えたりしました。

少しでも去年よりも良いタイムを目指して・・・





現地にはかなりの人たちがいました。

中型やモタード、ビックバイク。

小さいサーキットなので、20台近くコースに入ると渋滞してしまうほどです。



準備などを色々しているうちに、走行開始時間がきました。

今年初の走行なので完熟走行をゆっくりとして、

R1についているラップタイマーを見ると「34秒」

ハッキリ言って遅すぎです。

目指すべきタイムは「28秒」


前回の初トミンでは、NSR50で「32秒」

50よりも遅いタイムですね。


これはイカンと、少しづつペースアップ。

周回する度にラップタイマーをチラリ除きこむ。

しかしタイムは「33秒」程度・・・


もっと頑張ろうと思っても、いたる所で何台かの集団がいるので

すぐに詰まってしまい、なかなかコースがクリアになりません。



今思うと、その時に諦めてピットインしていれば・・・



しばらくして、

自分の前にはFZR1000の人と黒いモタード(Dトラッカー?)の3人集団。

先頭のFZRの人は立ち上がりの加速はいいのだけれど、

コーナーへの侵入で3人が詰まるという感じ。

そういった感じで、「35秒」位のペースで走っていました。

モタードの人も抜きにかかりたいようで、

色々なコーナーアプローチを試している。

それを後ろから見ていて、「少し左右に動きすぎだな」と思いました。



何周かしたのちに、

自分ももっとペースを早くして走りたかった。

最終コーナーを抜けて、メインストレート。

FZRはコースの中央。

モタードはコースのイン側。

今まで縦3台だったのを、アウトからアクセル全開でモタードをパスしようとした。



そうして第一コーナーに差し掛かる。



モタードはFZRをインからパスできないと思ったのか、

急にインからアウトへ、急に進路を変更。

アウトには既に自分とR1が。



全てが一瞬の出来事でした。



反射的に「マズイ!」と思ったがどうすることも出来なかった。

ガシャン!と音がして、

当たり所が悪くモタードの車体が、自分のフロントブレーキに当たった。

その反動でモタードはイン側へ。

自分のR1もそのまま倒れればよかったのに、

100km/h近くで急ブレーキがかかったので、ジャックナイフ状態に。

どうすることも出来ないまま、車体が上下逆で着地。

自分は、R1の前に投げ出されたが運良くアウト側に転がり、後続車にも轢かれずに済みました。




(状況的にはこういった形で着地しました。)



転げた後は、全身を強く打ちしばらく倒れこみましたが、

徐々に起き上がれるようになり、車体に目をやると

さっきまで動いていたR1が傷だらけに・・・



サーキット内に留まっているのはさらに危険なので、

エスケープゾーンへ入り、タイミングを見計らいR1ともにピットへ。

そこで落ち着いてR1を見ると酷い状態でした。




パッと見はあまり酷くないのですが、上下逆に接地した箇所は酷いです。

シートレールは思い切り曲がり、

シートレールとフレームのつなぎ目のフレーム側が折れて無くなってる。




ヘッドライトやメーター、ステーが割れた。

タコメータも転倒したときの回転数で止まってる。





フレームが折れたのを見て、

「あ・・・もうR1に乗れないんだ・・・」

と、頭に言葉がよぎりました。





と、ここまでの間でわずかに10分の出来事でした。





ちなみにモタード側はほとんど外傷はないです。

この時のやり場のない怒りはブログやBBSに書き込みましたが、

ぶっちゃけ今も納得してないですよ。

その場でも、周りの人から

「サーキットだからそう言うのはお互い様。」

と言う声が出てきました。

そうしたら、仮に後ろから突っ込まれてもお互い様なんでしょうか?

体が無事だから良かったですけど、

こういう発言は、その時の状況で使い分けてもらいたいです。





翌日全身や頭が痛み出し、病院へ行き

レントゲンや脳のCTを撮りました。

結果的には異常はありませんでしたが、

2ヶ月近く経った今でも、肩や足が痛いです。





そうしている間、

この2ヶ月の間思ったのが、またサーキットを走るのか?

と、言う事です。

もしかしたらまた同じ目にあうかもしれないのに?

周りからもう辞めろとも言われました。



100万以上するリッターバイクで、サーキットで走行し高い走行料を払い、

何回か使ったら終わりの高いタイヤ。

さらには、軽い転倒でも何万円もするリスク・・・

「目指すのはプロレーサーなの?」

「高いお金を出して危険な事をするの?」


人から言われたり、自問自答することが多くなりました。

正直鬱病になるかと思いましたよ。





でも・・・




そうは思っても、バイクは辞められません。

ある意味麻薬のような効果があると思いますよ。

やはり、サーキットの魅力を知ったら止められないんですよ。


R1でやり残したのは数多くあります。

直そうとも思いましたが、軽く50万以上します。

経済的な事情もあるので

残念ですが手元には置いて置けません。




またリッターマシンに乗るかは分かりませんが、

しばらくはミニバイクのみの生活を行ないたいと思います。



暗い話になってしまいましたが、サーキット走行する方は

こういった事もあるんだと思って下さい。

「自分はこんな事起きないよ」とは思わないで下さい。





最後に、


R1、こんな形でのお別れごめんなさい。

今までありがとう!!

きみとの3年近く、楽しかったよ!!





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